「自分を無にして自然に形が出来上がる」
〜パリを拠点に活躍する熊本市出身の彫刻家 燒リ基美子さん〜
「彫刻を始めて十年。挫折しそうになった時もありましたが、パリで創作活動ができることを神に感謝しながら頑張っています。」第一高校で油彩画を始め、米国の大学に進学。石材会社を経営する父の「石の彫刻家を育てたい」という夢に応え、彫刻に取り組むようになった。
「隠れキリシタンの時代からカトリック信者だった家庭に育ち、芸術とは神を賛美する心を表現したものだと、父から教えられてきました」
1999(平成11)年に渡仏。パリで創作と発表を続けた。04年に開かれた国際彫刻コンクールで新人賞を受賞したのをきっかけに、活躍の場が広がったという。
白い大理石を使い、動物や女性の体を抽象的に表現した作品が多い。重さ百キロもある石をほこりだらけになりながら、のみで丹念に削るかなりの重労働だが、作品は曲線を多用し、繊細で女性的な印象だ。
「自分を無にして自然に形が出来上がる。本当は作品に名前も付けたくない。見る人それぞれに何かを感じてもらえればいいと思っています」
八月に一時帰国。十二月にはパリで個展が控える。今後もパリに拠点を置くが、熊本でも制作、発表していく予定だという。「今後は高さ二、三メートルの大作に挑戦したい。公園などに置いて、子どもたちに夢や感動を与えられるような作品をつくりたいですね」
たかぎ・きみこ
(小林義人)
熊本日々新聞(平成17年8月31日(水)夕刊)より抜粋
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